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TRADING CARD REPORT

ブログ|業界コラム

PSA鑑定は何を見ている?4つの評価項目の基本

カードの角にルーペを当て、定規と照明で縁と表面を確認する検査机

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定のカード・鑑定サービス・店舗の推奨ではありません。

鑑定の「10」は、何を見て決まるのか

トレーディングカードの売買では、「PSA 10」のように、鑑定会社の名前とグレードが商品名に付いているのを見かけます。数字が高いほど状態が良いことは直感的にわかりますが、その数字がどんな観点から決まっているのかまでは、あまり知られていません。この記事では、PSAをはじめとする鑑定会社が公開している基準をもとに、センタリング、コーナー、エッジ、表面という四つの評価項目の基本を整理します。

先に前提を確認しておきます。グレーディングは、第三者の鑑定会社がカードの真贋と状態を判定し、結果を数値やラベルで示して専用のケースに封入するサービスです。基準は各社が独自に定めており、法律や公的な規格にもとづく証明ではありません。同じカードを別の会社に出せば、別の数値になることもあります。以下の内容は、各社の公式サイトで確認できた範囲の整理であり、特定の鑑定会社やカードを勧めるものではありません。仕組みの全体像は、グレーディング鑑定の仕組みと評価項目にまとめています。

四つの評価項目を順に見る

多くの鑑定会社が、状態の評価で共通して見るのが、センタリング、コーナー、エッジ、表面の四つです。

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センタリングは、カードの絵柄や枠が、縁に対してどれだけ中心に印刷されているかを見る項目です。左右や上下の余白の比率で「55対45」のように表します。コーナーは、四つの角の鋭さです。白く削れていないか、潰れていないか、丸まっていないかを見ます。エッジは、四辺の縁の状態で、縁に沿った白い欠けや細かな刻みが対象です。表面は、面に見られる傷、へこみ、印刷の不具合、汚れなどです。ホイル加工のカードは、光の当て方で細かな傷が見えやすくなります。

この四つのうち、センタリングは、カードを使っていなくても、製造の時点ですでに決まっている部分が大きい項目です。一方、コーナーとエッジ、表面は、開封後の扱いや保管の状態が表れやすい項目です。同じ新品に見えるカードでも、印刷のずれや製造時の傷で、評価が分かれることがあります。

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PSAの基準:最高評価の目安

PSAの公式基準のページには、最高評価の「Gem Mint 10」について、表面のセンタリングがおおむね55対45、裏面が75対25の範囲に収まることが目安として示されています。同じページでは、これらの割合は概数であり、境界付近では見た目の印象を含めて判断する場合があるとも説明されています。つまり、機械的に数値で線を引いているのではなく、人の目による総合的な判断が含まれているということです。

PSAのグレードは、1から10までの整数で示されます。10の次のグレードである9については、PSAの案内の中で、ほぼ完璧で、ごくわずかな欠点が一つだけあるような状態として説明されています。その欠点の例として、ごくわずかなセンタリングのずれが挙げられています。つまり、9と10の差は、たとえばセンタリングのわずかな違いにも表れうるということです。

ここで大切なのは、PSAの基準を、他社の基準にそのまま当てはめないことです。次の節で見るように、会社によって、センタリングの扱いも、数値の付け方も異なります。

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BeckettとARSでは、見方がどう違うか

Beckettは、センタリング、コーナー、エッジ、サーフェスの四つの項目ごとのサブグレードをラベルに表示する点を、公式ページで特徴として説明しています。最高位の「Pristine 10」、いわゆるブラックラベルは、表面のセンタリングが50対50、裏面が55対45以上であることなどが条件とされています。PSAの目安より厳しい数字が示されていることがわかります。同社のグレーダーへのインタビューによれば、四つのサブグレードは単純な平均ではなく、重みをつけて総合評価に反映され、センタリングとコーナーの重みが大きいとされています。

日本の鑑定会社であるARSは、さらに異なる考え方をとっています。ARSの公式サイトの鑑定基準には、鑑定は保存状態のみを評価の対象とし、印刷のずれ(センタリング等)は減点の対象外とする、と書かれています。評価の段階も、Grade 9は「微細な傷や汚れが僅かにある」、Grade 8は「小さな傷や汚れ、あるいは微細な傷や汚れが複数ある」というように、傷や汚れの程度と数で定義されています。完璧な状態のみ「10+」と表記し、古いカードは当時の状態を完璧に保っていれば10+に値するという注記もあります。

こうして見ると、同じ「10段階」でも、センタリングを重視する会社、センタリングを評価に含めない会社があり、数字の意味は同じではありません。「PSA 10」と「ARS 10」を並べて、どちらが上かを比べることは、基準が異なる以上、できません。

ARSの鑑定基準には、評価の数値とは別に、特記事項の表記があります。印刷・印字のずれや、誤った名称・イラスト・ホイルなどが確認された場合の「Misprint」、カード名称が存在しない場合の「Nameless」などです。数値のグレードだけでなく、こうした注記も合わせて読むことで、カードの個体としての特徴が見えてきます。鑑定会社のラベルは、数字だけを見て判断するのではなく、注記や記載の全体を読むことが大切です。

申し込む前に押さえたい三つのこと

最後に、鑑定に出す前に確認しておきたい点を三つ挙げます。

一つ目は、自分のカードの状態を、四つの項目で事前に見ておくことです。ルーペや照明を使い、角、縁、表面を確かめます。センタリングは、カードを定規で測ったり、画像で確認したりすると、おおよその見当がつきます。ただし、これはあくまで目安であり、実際の評価は鑑定会社が行います。

二つ目は、鑑定の費用と期間を確認することです。料金や納期、対象となるカードの種類、未開封品を受け付けるかどうかは、会社ごとに異なります。たとえばARSは、未開封のパックやプロモカードの鑑定を受け付けず、印字情報の誤りを除いて評価の訂正依頼を受け付けないと案内しています。評価の結果によっては、鑑定の料金のほうが売却額より大きくなる場合もあります。

三つ目は、鑑定の目的を考えておくことです。保護や展示のために封入するのか、売却時に状態を示すためなのか、コレクションの整理のためなのかによって、選ぶ会社も、出すカードも変わります。鑑定を受ければ価値が上がるとは限りません。サービスごとの違いは、グレーディング鑑定サービスの比較表で、運営会社や評価スケールなどの事実項目を並べています。あわせてご覧ください。

なお、鑑定済みカードの売買では、ケースに入っていること自体がカードの価値を保証するわけではありません。取引の前には、証明番号を公式の照会ページで確認することが大切です。偽造や改変をめぐる論点は、オリパ・真贋・トラブルの論点整理で整理しています。

本サイトはトレーディングカードの流通・鑑定ビジネスを公開情報から整理した業界レポートであり、特定のカード・鑑定サービス・店舗の推奨や、売買・投資を勧めるものではありません。カードの価格は変動し、値上がりを保証するものではありません。古物営業法・景品表示法等の記述は概要であり、個別の判断は所管官庁・専門家にご確認ください。