カード市場は、玩具市場の約3割を占める規模に
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本ページの数値は、日本玩具協会が公表した玩具市場規模調査の結果と、各社公式サイトに掲載された情報から、確認できた範囲だけを書いています。確認できなかった項目は「公式サイト参照」とし、推測では補っていません。
トレーディングカードは、ゲームとして遊ぶ、絵柄や希少性を楽しんで集める、飾って鑑賞する、不要になったものを売るというように、一枚のカードをめぐって複数の楽しみ方と取引が重なっている商品です。このため、市場の規模を一つの数字で語ることはできません。まず、公的な業界団体が毎年公表している数字から、全体の大きさを確認しておきます。
一般社団法人日本玩具協会は、2026年6月22日付で2025年度(2025年4月1日から2026年3月31日)の玩具市場規模調査の結果を公表しました。上代価格、つまり希望小売価格ベースで捉えた日本国内の玩具市場規模は1兆1,664億円で、前年度比106.3%となり、過去最高を更新したと説明しています。この調査は会員企業と東京おもちゃショーの出展企業の協力を得て実施されたものです。
そのなかで「カードゲーム・トレーディングカード」の市場規模は3,384億円でした。前年度より359億円増え、2017年以降8年連続で拡大していること、玩具市場全体の約30%を占める規模になっていることが、同協会の公表文に書かれています。市場全体の伸びが前年度より690億円だったと説明されており、その最大の要因がこのカード分野だったとされています。
商品動向については、前回の調査で前年度を割り込んだ「ポケモンカードゲーム」が今回は大きく売上を伸ばしたこと、「デュエル・マスターズTCG」や「遊戯王OCG」といった既存ブランドが伸びたことが、市場拡大の要因として挙げられています。つまり、特定の一作品だけが市場を押し上げているのではなく、複数のタイトルの動きが合わさって数字になっていることがうかがえます。
この数字をどう読むか
ここで注意したいのは、この数字が「希望小売価格ベース」の市場規模であることです。メーカーが商品を出荷し、新品として市場に出る段階を、希望小売価格に換算して捉えた数字であり、中古カードの買取や再販売、フリマアプリでの個人間取引、鑑定済みカードの売買といった二次流通で実際に動いた金額を示すものではありません。二次流通の規模を示す公的な統計は、本レポートの作成時点で確認できていません。
また、3,384億円は「カードゲーム・トレーディングカード」という分類の合計であり、ゲームとして遊ぶためのカードと、集めることを主目的としたカードを分けて示した数字でもありません。タイトルごとの売上を公表している発行元も限られます。数字を引用するときは、年度、価格ベース、分類の三点を一緒に書いておくと、読者に誤解を与えにくくなります。
主要タイトルと発行元
市場を支える代表的なタイトルについて、公式サイトの記載から、どの企業が運営・発売に関わっているかを確認しておきます。ここで挙げるのは確認できた範囲の例であり、網羅的な一覧ではありません。また、売上規模や人気の順位を示すものでもありません。
- ポケモンカードゲーム:公式サイトは株式会社ポケモンが運営しており、著作権表示には任天堂、クリーチャーズ、ゲームフリークの名前が並んでいます。
- 遊戯王OCG:公式サイトの著作権表示には、スタジオ・ダイス、集英社、テレビ東京とともにKONAMIの名前が記されています。
- デュエル・マスターズ:公式サイトはタカラトミーの運営で、著作権表示にはWizards of the Coast、小学館、ShoProとともにTOMYの名前があります。
- ONE PIECEカードゲーム:公式サイトにはバンダイのカードゲーム関連イベントの告知が並んでおり、BANDAI CARD GAMESのブランドで展開されています。
- マジック:ザ・ギャザリング:公式サイトの著作権表示によると、Hasbroの子会社であるWizards of the Coastが発行元です。
この顔ぶれからわかるのは、トレーディングカードが、玩具メーカー、ゲーム会社、出版社、キャラクターIPの権利者など、さまざまな企業の連携で成り立っている商品だということです。二次流通を担う店舗やプラットフォームは、これらの発行元とは別の事業者であり、発行元の公式な認定や保証を受けているとは限りません。店舗を選ぶときには、運営会社の表示や古物商許可の表示を確認することが大切です。
一次流通と二次流通、その間にある「鑑定」
トレーディングカードの流通は、大きく一次流通と二次流通に分けて整理できます。一次流通は、メーカーが商品を企画・製造し、問屋や小売店を通じてパックやボックスとして消費者に届ける流れです。新弾の発売日には店頭やオンラインで予約や抽選販売が行われ、購入者はパックを開封して、当たりのカードやデッキに必要なカードを手に入れます。
二次流通は、一次流通で購入された後のカードが、買取、中古販売、個人間取引などの形で再び市場に出る流れです。カードを一枚ずつ売買する「シングルカード」の取引が中心で、カードショップの買取、通販サイト、フリマアプリ、オークション、オリジナルパック(通称オリパ)の販売など、さまざまな経路があります。たとえば遊々亭の公式サイトは、取り扱いカードが約35万種類以上、在庫が1000万枚以上と自社で説明しており、二次流通の品揃えが「一枚単位」で成り立っていることを示す一例です。
二次流通で問題になりやすいのが、カードの状態の判定です。同じカードでも、角の傷み、表面のこすれ、印刷のずれによって評価が変わります。そこで広がってきたのが、第三者の鑑定会社がカードの状態を数値で評価し、透明なケースに封入するグレーディングです。鑑定済みのカードは「鑑定品」と呼ばれ、売買プラットフォームでも別のカテゴリとして扱われています。晴れる屋2のオンラインショップには「鑑定品」の商品カテゴリがあり、magiの公式サイトには鑑定品の取引を集計した一覧が掲載されています。鑑定の仕組みはグレーディング鑑定の仕組みと評価項目で、サービスごとの違いは鑑定サービスの比較表で整理しています。
流通の各段階には、法令の枠組みも関わります。中古品を買い取って販売する事業は古物営業法の許可が必要な古物営業にあたり、ランダム性のある商品の販売や景品の提供には景品表示法や刑法の論点が関わります。これらはカードショップ開業と仕入れの基本とオリパ・真贋・トラブルの論点整理で扱います。
海外とのつながり
トレーディングカードの市場は日本国内にとどまらず、国境をまたいで動いています。鑑定サービスを例にとると、PSA、Beckett、SGCは、Collectors Holdings, Inc.の公式サイトにブランドとして並んでおり、同じグループのもとで運営されています。一方、CGC Cardsはコイン・紙幣・コミックなどの鑑定も手がけるグループの一部として、カード鑑定を提供しています。こうした海外の鑑定サービスの存在が、日本のカードが海外で鑑定を受ける、あるいは海外のコレクターが日本のカードを購入するという取引が成り立つ土台になっています。
日本発の鑑定機関としては、2020年に発足した株式会社Arsalesの「ARS」があります。公式サイトは、日本初のTCG専門の鑑定機関と自社を紹介し、国内サービスによる輸送リスクの低減を特徴の一つとして挙げています。海外の鑑定会社に送る場合は、国際輸送のリスクや手続きが加わるため、どの鑑定会社を使うかは、評価の考え方だけでなく、申込みや発送の経路を含めて検討する必要があります。
海外市場の規模については、日本玩具協会の調査は国内市場を対象としているため、本レポートでは海外の市場規模の数値を掲載していません。各社の公表資料でも、日本向けの内訳が確認できる数値は見当たりませんでした。数値が必要な場合は、各発行元や鑑定会社の公式発表、上場企業であればIR資料などを直接ご確認ください。
コレクター需要の広がりと、見えてきた課題
カードの楽しみ方は、ゲームとして遊ぶことから、絵柄を鑑賞することへ、さらに保管や展示へと広がっています。ARSの企業理念のページには、トレーディングカードが趣味や遊戯の領域を超え、「遊ぶ」だけでなく「飾る」「鑑賞する」といった楽しみ方が広く浸透してきた、という認識が書かれています。鑑定済みのケースは、カードを保護しながら展示するための形でもあります。
こうした需要の広がりの一方で、いくつかの課題も指摘されています。第一に、偽造品の問題です。AIによる鑑定サービスを提供するコレクテストは、2024年2月に特許庁の海外展開支援室長と意見交換を行ったと発表し、トレカの価格が高騰するなかで精巧な偽造品が増えており、特にフリマなどの個人間取引で多く出回っていると述べています。偽造品への対策は、鑑定会社、販売店、プラットフォーム、行政の連携が必要な分野です。
第二に、転売目的での大量購入や買い占めの問題です。2026年7月21日付の報道によると、自民党の有志議員がトレーディングカードの振興を目指す議員連盟の設立を固め、同月23日に設立総会を開いて、業界団体や経済産業省から現状や課題を聞く予定だとされています。議論の対象として、偽造品の流通、転売目的などの大量購入や買い占め、マネーロンダリングへの悪用が挙げられており、記事の時点では具体的な規制内容は示されていません。今後の動きは、各省庁や業界団体の公表資料で確認する必要があります。
第三に、価格の変動です。カードの価格は、新弾の発売、大会の結果、再録の有無、禁止・制限の改定などで上下します。本サイトは、特定のカードの値上がりを予測したり、売買や投資を勧めたりするものではありません。カードの価値が将来も保たれることを示す公的な根拠は存在せず、購入や売却の判断は、ご自身の責任で、公式の最新情報を確認したうえで行ってください。
このレポートの読み進め方
本サイトは、トレーディングカードの流通を「市場」「鑑定」「査定の自動化」「売買の場」「開業」「法的な論点」の六つの側面から七つのページに分けて整理しています。カードの状態評価に関心がある方は、まず鑑定の仕組みから読むと、各社の評価の違いがつかみやすくなります。店舗を開業したい方は、開業と仕入れに古物商許可の手続きと確認義務をまとめています。オリパの購入や販売に関心がある方は、オリパ・真贋・トラブルで条文と公表資料を確認してください。
比較表のページでは、運営会社や本社所在地など、公式サイトで確認できた事実項目だけを並べ、順位付けや優劣の判断は行いません。公式サイトに記載がなかった項目や、サイトの仕様上確認できなかった項目は「公式サイト参照」としています。掲載内容は2026年10月時点のものであり、最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。
一次情報の確認先
- 一般社団法人日本玩具協会「2025年度の日本の玩具市場規模は前年度比106.3%の1兆1,664億円で過去最高を更新」(2026年6月22日):玩具市場規模(統計・資料)
- 株式会社ポケモン:ポケモンカードゲーム公式サイト
- KONAMI:遊戯王OCG公式サイト
- タカラトミー:デュエル・マスターズ公式サイト
- バンダイ:ONE PIECEカードゲーム公式サイト
- Wizards of the Coast:マジック:ザ・ギャザリング日本語公式サイト
- Collectors Holdings, Inc.:ブランド一覧
- 株式会社Arsales:ARS 企業理念・会社概要
- ゲームビジネス(コレクテストの発表):トレーディングカード業界における偽造品の増加について
- 熊本日日新聞(議員連盟設立の報道、2026年7月21日):トレカ議連設立へ
