ニュースの概要
ゲーム小売大手のGameStopが、トレーディングカード事業を成長の柱に据え直している。Wedbushのアナリストによると、同社は全米に広がる店舗網と、中古品を買い取ってきた長年の習慣、そしてコレクターの顧客層を持つ。ここにカード鑑定大手PSAとの提携を重ね、各店舗を鑑定の受付窓口に変えつつある。これまで鑑定は郵送で依頼するのが中心だったが、店頭で預けられれば手間は大きく減る。鑑定済みカードの買い取りや販売も店舗の取引に組み込める。さらに、デジタル上でのパック開封と、実物の鑑定を結びつける動きも伝えられている。小売店が単にカードを売る場所から、価値を確かめる場所へ役割を広げる試みと言える。
引用元: GameStop、PSA連携を軸にトレーディングカード事業を強化(Investing.com)
分析・見解
鑑定の受付を店頭に置くと何が変わるか
カード鑑定とは、専門会社が真贋と状態を調べ、点数をつけて透明なケースに封入するサービスである。PSAはその最大手で、10点満点の評価が中古市場での価格を大きく左右する。ところが利用者は、郵送で送って結果を待つのが普通だった。混み合う時期には待ち時間が延び、高額なカードを郵便に預ける不安も残る。
GameStopが受付窓口になれば、この手間と不安は小さくなる。店員と顔を合わせて預けられ、控えも受け取れるからだ。初心者にとっては、鑑定に出すという最初の一歩が低くなる。出す人が増えれば、鑑定済みカードの流通量も増えていく。
買い取りの習慣が鑑定済みカードの出口になる
GameStopは、中古ゲームを下取りして再び売る仕組みを長年磨いてきた。この仕組みはカードと相性が良い。客が持ち込んだカードを査定し、価値がありそうな物は鑑定に回す。戻ってきたら店頭やネットで売る。入口から出口までを一社で完結できる点が大きい。
似た例が、鑑定書付きで売る中古の高級時計やブランド品の店だ。第三者が真贋を保証すると、買い手は安心して高い値を払える。同じ理屈で、鑑定済みカードは未鑑定品より利益を取りやすい。一方で、点数の付け方に差が出やすく、期待した評価に届かない場合もある。その説明を店員がどう担うかが、現場の負担になりうる。
デジタルの開封体験と実物収集をつなぐ狙い
伝えられている構想では、画面上でパックを開ける体験と、実物の鑑定が結びつく。デジタルで興味を持った人を、実物のカード収集へ導く動線と読める。当たりを引く楽しさという点で、ゲームとカード収集はよく似ている。ここをつなげれば、来店の理由が一つ増え、来店頻度も上がる可能性がある。
私が面白いと見るのは、鑑定が「預けてから待つ」サービスだという点だ。結果の受け取りのために店へ戻るなら、そのたびに新しいパックや関連商品を見てもらえる。待ち時間そのものが、再来店の約束になる。ただし細かな仕組みはまだ見えない部分が多く、実物との連動の深さで評価は変わるだろう。
ブームの波に左右される弱さも見ておきたい
トレーディングカードの相場は2021年前後に急騰し、その後は調整を経験した。熱が冷めれば、鑑定の依頼数も減る。店舗網は固定費が重いため、需要が落ちたとき受付窓口が遊んでしまう恐れがある。
さらに、GameStopの本業であるゲームソフト販売は、ダウンロード販売の広がりで縮んできた。カードはその穴を埋める有力候補だが、単独で埋めきれるとは限らない。勝負どころは、人が店に足を運ぶ理由を新しくつくれるかどうかだ。鑑定窓口は、その理由の一つになりうる。鑑定会社にとっても、店舗網は集客を任せる外部の手足に当たる。評価の質と待ち時間を守れなければ、店の評判まで傷つく点は忘れてはならない。
ビジネスへの影響
実店舗が持つ「預かる」機能を価値に変える
店舗を持つ企業にとって、今回の動きは販売の場を受付や相談の場に広げる例になる。ネット通販で代わりにくいのは、現物を預かり、人が説明し、受け取りで再び会う体験だ。自社の店に、預かり、査定、受け渡しのどれがすでにあるかを棚卸ししてみるとよい。中古品を扱う業種なら、外部の鑑定や認証の機関と組むだけで、新しい収益が生まれる可能性がある。
提携先を選ぶときは、相手の知名度より、自社の客がすでに信頼しているかを重んじたい。
始める前に確認したい三つの数字
第一に、受付一件あたりの手数料と、店員の作業時間である。手数料が良くても、説明や梱包に時間がかかれば、人件費で利益が消える。第二に、預けた客が再来店する割合だ。受け取りのための来店で、追加の購入がどれほど生まれるかを測る。第三に、需要が落ちたときの下限である。相場が冷えた月でも、受付の固定費をまかなえるかを試算しておく。
小さく始めるなら、数店舗で受付日を限って試し、待ち時間、客の反応、トラブル件数を記録する。型が見つかってから広げれば、ブームが去っても傷は浅い。
信用の責任を誰が負うかを先に決めておく
鑑定を扱うと、紛失、破損、評価への不満といった苦情が店に集まる。受付だけを担う店でも、客から見れば店の責任に映る。補償の範囲、保管の方法、問い合わせの窓口を契約で明確にし、店員向けの説明用紙を用意しておきたい。
